太陽熱を使おう


 自然エネルギーって

私たちの身の回りの自然の中にはさまざまなエネルギーがあります。例えば、空気の動きは風力、川の流れは水力、海のうねりは波力として利用できます。また、太陽熱や地熱のように、熱として直接利用できるエネルギーもあります。

特に、太陽熱は私たちのもっとも身近な自然エネルギーで、それぞれ大きな設備でなくても利用できるため、個人レベルでは最も使いやすい自然エネルギーといえます。飛騨は、寒冷地の中では比較的緯度が低いため、冬でもある程度日射量が見込め、太陽熱を利用しやすい自然環境に恵まれています。この恵まれた自然エネルギーを有効に活用することは、これからの住宅や生活にとってますます重要になることでしょう。

ただし、太陽の恩恵は非常に天の邪鬼です。また、外気温にも大きく左右されますので、あくまで補助として捉えなければ、こんななずぢゃ・・なんて事になりかねます。
下に、大まかに例を挙げましたので御参考までにどうぞ。 

 太陽熱利用と省エネルギー

私たちが日常使っているエネルギーは、80%以上を石油、天然ガスといった化石燃料に依存しています。これらを燃やして生じる熱を直接熱として、あるいは電気に変換したりして使っているわけです。これらのエネルギーを使った後に排熱や排ガスが残り、空気中に吸収されていく事になります。これまでは、排熱や排ガスは地球という大きな環境の中で拡散し薄められていくと考えられてきました。しかし、最近ではこれらの汚染物質が蓄積されることが、地球の環境に影響を及ぼしているのではないかと言われていきます。

これからの省エネルギーは、単にエネルギー消費を減らすだけではなく、寒今日にやさしいエネルギーへ転換することであるともいえるでしょう。暮らしの中で太陽熱を使うには、設備費や建設コストが多少割高になりますが、環境を大切にすることにはコストでは計れない価値があるのかもしれません。


 太陽熱の利用方法

太陽熱を住宅で使用する方法には、大きく分けてアクティブ利用とパッシブ利用の二つがあります。

1.アクティブ利用

集熱器や蓄熱層、ポンプなどを使って、積極的に太陽熱を集め、効率良く太陽熱を利用しようとする方式です。この方式は、設備費(イニシャルコスト)、維持費(ランニングコスト)がかかりますが、熱媒(水、空気、不凍液)を割に高温にできるため、給湯や暖房などに広く利用できます。

2.パッシブ利用

特に設備機器を使わずに、建物を日射を取り入れやすくしたり熱を逃さないような工夫をして、自然に入ってくる太陽熱をそのまま利用する方式です。この方式では、特別な設備を必要としないため、設備費や維持費がかかりませんが、高い温度を得にくいので、冬期間の暖房が主な用途になります。
 


参考までに 以前お引き渡しした邸宅の初期計画案です。
夏の日射を考慮し、バルコニーと屋根で庇を創り
冬の日射を取得出来る様計算したデザインです。

冬の氷点下の日でも日射がある時は、地熱の取得もあり
熱交換から供給される新鮮空気は、ほぼ室温と同じと言う結果が出ました。
もちろん、Q値が1に等しい程の断熱力があっての事です。
※窓は木製LOW-Eペアを採用しました。

 

 パッシブ利用の基本的ポイントは次のとおりです。

A 建物の断熱気密性能を高める

室内に取り入れた太陽熱をすぐに外に逃がさない建物性能が必要になります。そのためには、 住宅金融公庫・次世代断熱基準の性能基準値以上を、クリアしたい所です。
 
B 日射の取り入れ

パッシブ利用では、窓から入る日射熱を直接利用するので、南面や南東面に主要な窓を設けることが基本です。また、壁の高い位置に窓を取付けると、日射を建物の奥まで導くことができるので利用効率が高まります。

屋根窓は日射を効率良く取り入れることがことができますが、室温の上がりすぎを招きかねないので(特に夏には)、南面に設けるのは避けた方がよいでしょう。どうしても、南面に設けたい場合には、外側に日射遮へい 材などを考える事が有効となるでしょう。

居室部分とは別にサンルームのように日射を取り込むための空間を設けるのもある程度有効な手段と言えます。
 
C 熱を蓄える

太陽熱を長時間利用するためには、熱をためておく工夫が必要になります。コンクリートやブロックのような重い材料は、一度暖まると冷めにくく、熱を蓄える能力の大きな材料です。コンクリート造やブロック造の住宅は、建物全体が蓄熱体となるので、パッシブ利用には有利な構造と言えます。木造住宅でも、日射のはいる部分を中心に、床をコンクリートの土間床や、蓄熱層を創った上にテラコッタタイルなどの採用でも蓄熱体として利用できます。