住宅の温熱環境改善や省エネルギー化を図るために、断熱材を増やしたり、断熱材やサッシュを入れ替えたりすることを断熱改修と呼んでいます。
断熱改修を行う理由は、おおよそ次の2点による場合が多いと思われます。
@以前より寒い、暖房費が多くかかる
A外装材の改修工事と併せて行う
断熱改修工事の多くは、外壁や窓など特定の部位を対象に行われているケースが多いようです。しかし、特定の部分だけの改修では、本質的な性能向上にならないばかりか、かえってその部分に結露などの障害が集中してしまうなどの恐れも発生します。
従って、断熱改修は全体の性能をバランス良く引き上げることが重要です。もちろん計算に基づいた温熱環境計画は必要となります。
冷暖房費の削減と言う意味でも、環境負荷軽減に寄与できる事となります。
断熱改修の考え方
以前に比べて寒い、暖房費が多くかかるようになった原因としては、おおよそ次のケースが考えられます。
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断熱材内部での結露発生や、断熱材の垂れ下がり等による断熱欠損のため、断熱性能が低下した |
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木材の乾燥収縮によりすき間が生じ、以前に比べて室内にすき間風が多く入るようになった |
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同時に、断熱材内部にもすき間風が多く入るようになり、断熱性能が低下した |
こうした問題点を解決するには、まず問題のある部分を明らかにした上で、その部分に適切に対処する必要があります。
また、それと併せて住宅全体の性能改善のために、住宅に占める熱損失の大きな部分から順に改修していくことが望まれます(まず気密化を図り、外壁・窓、床・天井の断熱化を図る)
室内側から断熱改修する場合のポイント
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外壁や壁については、内装材や床材を取り除き、問題がある部分の断熱材を入れ替えます。外壁や床の断熱がグラスウール10K100oまたは50oの場合は、グラスウール16K100o以上の断熱材に取り替えた方が良いでしょう。また、天井はブローイング工法により200o程度以上の断熱施工を行います。また麻やセルロース・羊毛などの自然素材でも性能の高い断熱材の御提案も致しております。
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ブローイング工法って?
粒状のグラスウールやセルロースを天井裏などに専用マシンで吹き込み、短時間で断熱工事を完了させる工法。
北海道を始めとする寒冷地で、長年の実績があるこの工法は、冬暖かく、夏涼しい住まいづくりを実現しています。素材の熱伝導率から厚さを決定し吹き込むことで、施工ムラ無く次世代省エネルギー基準に対応することができます。
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天井裏施工の様子
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A |
この段階で、木材等の構造材が腐朽していた場合は、材料を取り替えるか、適切な防腐処理を行う必要があります。
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B |
繊維系の断熱材を採用した場合、室内側に防湿シートを張り、内装仕上げ材を施工します。
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C |
外壁内部の結露防止のための対策を行います。
外装材の更新を同時に行う場合には、新築住宅と同様に防風層を施工し通気層を設けます。
外装材を更新しない場合は、内部結露防止のために、その外側にボード系の断熱材を張った上で、通気層を設けた方が良いでしょう。
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D |
壁内通気を防止するため、外壁や間仕切壁の上下端部で通気止め材の施工が望まれます。 |
外側から断熱改修する場合のポイント
この方法は、室内側からの工事がないため、生活しながら断熱改修ができ、断熱・気密化施工が容易で性能面でも信頼性が高い方法といえます。
基本的には、硬質系断熱材を外壁・屋根・基礎の外側に張り付け、外側からすっぽり断熱します。外貼り断熱になりますので、小屋裏や床下空間の結露防止のため、今まで入っていた天井や床の断熱材は、それぞれ取り除く必要があります。もちろん在来工法の場合は内壁の通気止めを行わないと、計算上の性能値が出ません。
窓の改修のポイント
窓の断熱改修方法としては、既存のサッシュを生かして行う場合と断熱・気密性の高い断熱サッシに取り替えてしまう方法があります。
前者の場合は、内側の建具の断熱気密化を重点的に図ります。しかし、定期的な気密パッキン材の取り替えが必要となり、実際には思った程の性能が確保されないことが多く、かえってガラス面での結露がひどくなることもありますので注意が必要です。 |