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06年11月



最近また、薪ストーブへのお問い合わせを多く頂く様になりました。

原油燃料高騰への備えか、はたまた自然回帰か
(笑)

何にしても、くゆる炎と向かい合う時間は何物にも代えられません。その分、手間と労力を要しますが、それらローテクも全てひっくるめて、薪ストーブの良さ なんだろうって思います。
 

 なんだかんだ言いつつ私が好きなだけなんですが(汗


薪ストーブと言うと、やはり新築がメインの対象になりますが
リモデルとしての御依頼も増えてきましたので、ここで少し御紹介。


リモデルの場合は、特に新築とは異なり、ストーブの設置を想定していない場合も多いので、その設置場所や、躯体貫通の方法など、しっかり検討しなくてはいけません。以下に数点挙げてみました。

 
第一に家屋、またその立地周辺に対し、安全かどうか。
 
煙道計画は、積雪・耐風に適切か。
 
躯体貫通部の経年劣化による変化が想定できるか。
 
クライアント様の御要望と、機種設定は正しいか。
 
メンテナンスは容易に出来るか。
 
燃焼に際し、効率の良いパイプ廻しかどうか。
 
吸気の方法は適切か。
 
薪の設置場・薪を持っての生活動線は適当か。
 
効率の良い設置場所かどうか。
 
炎をインテリアとして、美しく演出できるか(ストーブ設置場所)
 

以上は簡単なQ&Aですが、いくら安全な薪ストーブとは言え相手は炎です。更に技術的な要素も多いため、設定因子には綿密な計画が必要と考えます。


では、H様邸STOVE設置リモデル工事を見てみましょう

 

■ストーブ設置箇所

まず
、 ストーブを何処に設置するか?ですがH様邸のリビングからは、北アルプスがパノラマビュー。窓全てが素敵なピクチャーウィンドウになるのですが、そちらの面への設置だと、どうしても煙道に無理が生じて、規模の大きな改修が必要となります。

また、煙突からの放熱や、圧力差による煙の引きを考えた場合、室内からの煙突パイピングが適切だろうと、窓とは反対側の壁、家の中心側への設置をお勧めしました。

右図がその計画概要ですが、煙突トップも屋根の棟に近づける事により、不意の大雪にも心配は要りません。またストーブ設置場所からほぼ真上に、長く真っ直ぐ伸びる煙道計画は、煙の引きも良く、効率的に燃えてくれるでしょう。


ダッチウェスト社・エンライトシリーズ

その他、いくつか設置案はあったのですが、メリット・デメリット等を考慮し、 またH様邸は、空調面積80坪を越える大邸宅で、全館空調システムも導入されていますが、薪ストーブに火を入れる事で、空調を考えなくても、ある程度全体に暖かさが廻らないかな?って御要望もありましたので 上図のリビングから階段吹き抜け方向に煙突を抜き、そのまま屋根まで上げる経路を採用しました。

もちろん工事におけるコスト評価も大切な要因となります。

ストーブの機種設定

そしてお次はストーブ機種の設定です。
ストーブにも各国いろいろなメーカーや機種があり、その使い道や機能は多種多様に広がります。
そこで今回H様邸にお勧めしたのが米国DutchWest社のEnlightと言うモデル。

頑丈な鋳物構造はもちろん、薪の燃焼効率・触媒を使わない三次燃焼システムによるクリーンな排気と、オススメの一台です。

この機種の特徴としては、触媒を使用しないにも関わらず、長時間の燃焼を可能にしたリーバーンシステムにあります。触媒を使用したクリーンバーン方式と比べても、遜色ないクリーンな燃焼を可能にし、数年で取り替えが必要な触媒のランニングコストも抑える事が出来るんですね。

また、直接パイプにて外気導入口を設ける事により、室内空気を燃焼に使わなくて済むのです。


燃焼概念図
 
右図:

ガラス部分上からの燃焼空気により、ガラスのスス付きを防ぎます

詳しくはダッチウェスト社のホームページへどうぞ♪

■安全

薪ストーブの事故は、火事として毎年ログハウスを中心に必ず起こっています。その殆どが、炎を甘く考えすぎていたケアレスミスや、煙突配管の工事ミスによるモノです。例えば積雪により煙突が折れて、もし室内に倒れてきたら・・さながら煙突は火炎放射器と化します。街を移動していると、たまに怖い煙突を見かける事がありますが、もし今、ストーブをお楽しみの方で、少しでも不安がある様でしたら是非御一報下さい。

また、その重量も加味しなくてはいけません。今回のH様邸は『北米型枠組み壁工法』にて床構成してある為、補強等必要有りませんでしたが、エンライト・ミディアムタイプでも重量190s以上。レンガや煙突を含めると、優に300sを超えます。リモデルの場合は、特に床構成の検証も必要でしょう。

■工事着工

いろいろ検討を重ね、不安な材料を消去出来たら工事着工です。リモデルの場合は、住みながらの工事になりますので、やはりクライアント様との信頼関係や、近隣配慮も必要になります。テクニカルな面で言うと、工事が御家族の負担にならない様、養生や時間等、配慮させて頂きます。

それでは、画像と共に工事内容の御紹介です。まずは屋根足場の設置から♪



 



屋根てっぺんからの風景
うぅん・・秋だなぁ
小春日和の のどかな日でした。

さて・・ゴルフでも・・
んな時間無ぁぁぁぁ〜いっっ(爆

 

左図:

屋根の棟近辺から煙突を抜く為、屋根足場が必要となりました。
ストーブ屋さん、ここえっちらほっちらと煙突担いで登るのです(笑

 




ストーブ設置場所はこちらに

その場所に、温水ヒーターのコンセントや
電話・電気コンセント等がありましたので
事前に撤去・移設します。
 



 

右図:

移設完了後の図
ちゃんと現場発泡の断熱材で封印済みです
・・って使いすぎっ(爆
 


 




煙突取り合いの特注ステンレスカバーです
 

左図:

屋根開口の図
ちゃんと後の水仕舞いを考えての開口です。
もちろん躯体を虐めない様、的確な位置出しは必要です。
屋根のてっぺんに大の大人(板金屋さん・大工さん・ストーブ屋さん等々)5人も上ると
せまっっ(爆
 




同時に耐熱・蓄熱の為のレンガ積みです。
レンガの後ろに見えるのが、耐熱板。
それでも、ちゃんと空気層を造って積んでやらないと
躯体を痛める事になりますからね♪
 




左図の反対側の壁です。
ここを抜いて煙突を通し、屋根まで直行です。

美しい壁です。抜くの惜しいなぁ(^-^;
 




外ではストーブ屋さんが煙突工事

屋根の上にナントナク見えるのが
薪ストーブマスター

 




ほどなく煙突工事外部終了

雨・風に問題無いかチェックして
外部は終了です。

もちろん横殴りの雨や積雪にも耐える様
下地処理はバッチリ確認済みです。
 



 

新築の場合、左図みたいな煙突を作る事が多いですが、今回の場合は、その後の漏水や、コスト・工期・デザインを考え、上の様なステンレス煙突のままとしました。

耐候性は、両者に違いは ほぼ無いですね。

特に、今回は殆ど見えませんし(笑

新築でも、煙突が似合わない時なんかもありますが、その場合は、今回の現場の様に煙突トップを出します。


ちなみに画像は、煙突トップに水切り用の屋根付けていますw




そしてレンガ工事も終わったぞぃの図
途中穴空けたり凸凹作ったりして
遊んでみました(笑

STOVEが来る事考えて
あまり主張しすぎずって感じが良いのです。

床に見えているのが、外気導入口です。

ここをストーブ本体に直接繋ぎ
外気を導入するのです。

壁には煙突を通す開口も開きました。
ちゃんとケーシングでお化粧してます。
この後壁に併せて塗装で仕上げます。
 




で・・左の壁の・・気になります?

お目が高いっっ!!(爆

私、新築時にデザインから興させて頂いた
特注ステンドグラスです。
画像で見るより柔らかい光が優しいですよ。

そんな事もやってます (^-^)/

あ 画像集めて ステンド紹介ページでも
作ろうかな?(笑
クライアント様でもある職人さん直発注ですから
リーズナブルにご提供出来ますよぅ。
 



 




遠くの山には雪が(^-^;
 

左図:

開口の塗装も終え、煙突君の登場です。
壁と近い所は、耐熱パネルを巻きました。

室内部はシングル管として放熱を期待し、屋根内部や外部は二重管としています。

天井貫通部は、気密こそ不可能ですが、耐熱断熱材を250o程度充填し、熱ロスを防ぎます。

煙道が長いので、安心です。
 
  
  
   そして 
完成です!


   御家族みなさまにお揃い頂き
火入れ式ですっっ。


   ストーブ屋さんに色々な使い方や注意点を教えて貰って・・
 



どうですか?見ているだけで暖かくなりそうですよね。


H様邸では、パイピングに悩んだだけあって予想通りの煙の引き!
綺麗に燃えてくれます。


くゆる炎の前で 一杯のバーボン・・良いですね。


可愛い娘ちゃんてば 『私出来るかな??』 って 大丈夫、きっとPAPAが触らせてくれないよ(爆


なんて はやくも
焼き芋段取りしてる娘ちゃんでした(^-^;


今の子達って 大人が火をかまわせてくれないから、こんな事でも良い勉強になるかもですね。


でも、ご主人・・・来年から芝刈りの他に薪割りって重労働が増えますね(爆
 

そんなこんなで、約一週間の工事でした。

ご主人、早速今年の春切り出して、一夏乾燥させた薪をGETされたそうです。今年は目にも暖かいクリスマスが迎えられそうですね。って正月は上でモチ焼けるな・・いいなぁ(笑


実はご主人、新築時にも薪ストーブはお考えだったのですが、薪の手配と管理がちょっと・・と挫折された経緯があったと言う(笑 それでも最初から計画したみたいに綺麗に収まりました
(またしても自画自賛)


H様、御縁を有り難うございました。また何なりとお問い合わせ下さいませm(_ _)m
 



注意事項として、ストーブの設置には、躯体への貫通が発生し、しかもそこが熱を有する事から、確実な気密性能は維持できません
・・ しかし冬季は暖を入れる事や、パイピングの工夫等で断熱を強化する事は可能です。


それでも、ありあまるその魅力は、欠点を上回る恩恵があるかと思っています。家族みんなで炎の前に集まるなんて、素敵な事ですよね。


ただ、せっかく導入する管理できる炎なのですから、恩恵は最大限に受けたモノです。前にも書きましたが、薪ストーブは10.000Kcal以上と、強力な熱源でもあります。しっかりとした計画と工事管理は必要ですね。

 


薪ストーブ 結構良ぃ感じでしょ^^

今回の御紹介はリモデル例ですが、新築の場合だと、最初から計画に入れます。

そんな素敵な炎マニア
(笑)の方々の事例もちょっとだけ御紹介
 



UP



ジャパニーズシンプルモダンな空間に、自然石をバックにした
DutchのEnlight (しかもラージサイズ)

存在感ありながらも、馴染んでませんか(^^ゞ
 



ダブテイルログ造に佇むヨツール

やっぱり敵無しに似合いますよね。

 



DutchのPlymothタイプ
無骨な感じがイカします。 隣の窓からは裏庭へ。
 


 

耐熱パネルを鋼板とした例

和風にも良く似合うスッキリとした感じに収まりますね。

VermontCastings社のDefiantタイプです。


結構 男のロマン的な薪ストーブですが、質の良いモノは慣れれば奥様でも、簡単に管理が出来ます。ただやっぱり、薪の手配はご主人かな(笑


でも、そんな春から秋への薪作りも薪ストーブの魅力のひとつなんですよね。


炎のある暮らし、いかがですか。

 



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